3-2. AIで不可能な脳機能


 
クオリアとは、「質感」のことで、言葉では表現できない微妙な感覚です。
例えば、近くの公園を歩いていて、青空にぽっかり浮かんだ雲を見上げ、日差しを浴びつつ、頬を撫でる風を心地よく感じ、風の微妙な音を聞き、木々の緑の繊細な色合いにホッとし、遠くで子供達の歓声や車の音を聞きながら、ああ幸せだな、としみじみ感じる、こういった脳が感じる微妙な「質感」は、0と1でインプットするしかないコンピュータでは絶対に再現不可能です。
五感と言われる視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚は、「質感」の基になっていますが、コンピュータは再現するのは無理です。
皆さんは、「意識」についてはほとんど意識していないと思います。
私達は朝起きてから寝るまで、自分があって、様々なことを意識して生きています。
そして、意識下で、いろいろなことを考え感じ笑い怒り落ち込んで生きています。
意識の主体は自分です。
最新脳科学をもってしても、この複雑な意識の本体は解明にはほど遠いのです。意識の解明が生命科学の第一の難問と言われています。
左脳はデジタル系、右脳はアナログ系を言われてきました。
大半の脳科学者はこの説に否定的ですが、臨床的観点からは、明らかに左右差があり、筆者はこの説に賛成です。
左脳系はAIの方が優れています。
自動運転などAIに任せればいいのです。
病気の診断や法律の適応や過去の判例、会計等はAIが勝ります。
手術もすべてロボットが精密にできるようになり外科医の多くは失業するでしょう。
AIは論理・確率・統計のみしかできません。AIは問題の意味を理解できません。
右脳の機能は意味・洞察・直観などです。
これからの時代を生き抜くためには、暗記力・既成の問題を解くだけの秀才はいりません。
これらはAIに任せておけばいいのです。
右脳の優秀な人こそ、知性豊かな人であり、これからはリーダーになります。
人間は自由意志を持ち、責任を感じます。
そして、自らの脳を進化させることができるのです。
AIはこれらすべてできないのです。

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