3-1. 脳細胞の驚異

我々が皆持っている脳細胞は約1000億個あります。
各脳細胞は隣の脳細胞と繋がっていますが、1個の細胞あたり数千から数万あるシナプスと言われる接点は、ごくわずかに離れていて、その間を100種類以上の神経伝達物質が加減され往来しています。
ということは、もし脳をコンピュータで再現しようとすれば、1000億個の高性能コンピュータを並列につなぎ、そのコネクターを数千個~数万個で繋ぐことになり、かつ単なる電気が流れるだけでなく、多数の神経伝達物質が必要に応じて最適に流れると同じ機能を持たねばなりません。
このようなコンピュータはあまりに巨大で、我々には創れないことはもちろん、もし製造できたとしても、高熱で直ぐに燃えてしまいます。
我々はこのような大変優れたコンピュータ以上の超高性能なわずか1.3キロ程度の脳を、頭という狭い空間にもっています。
しかも体温で維持できるのです。
巷ではAI(Artificial Intelligence人工知能)が囲碁棋士に勝つ、自動車が自動運転するなど、AIが人間より優れてきた、人間は失業するのではないか、そのうちシンギュラリティ(技術的特異点)が到来していずれAIが人間を支配するのでは、と話題になっています。
しかし、驚異的に進歩しつつある生命科学でも、脳のカラクリをまだ一部しか解明していないのです。
1個の細胞さえわずかしか解明していない人間は、いのちの前に謙虚であるべきです。