脳の構成成分とは?

 
まず、脳の構成成分についてお話しします。
脳の構成成分は、脂質約60%、タンパク質約40%です。
そして、脂質の内訳はコレステロール約50%、リン脂質約25%、ドコサヘキサエン酸(オメガ3系)が約25%です。
コレステロールは神経細胞を守っています。ちょうど電気のコードが、電線 の回りを絶縁体でくるんであるようにです。
そして、リン脂質や、DHAは、神経伝達に大きな役割を持っています。
脳には、約140億個もの神経細胞があります。
しかし、これは脳全体で見るとわずか1割程度にしか過ぎず、残りはグリア細胞という神経細胞に栄養を送る役割を持つものです。
 

プラズマローゲンとは?

次はプラズマローゲンについてお話ししていきます。
プラズマローゲンは、その分子内にビニルエーテル結合という特殊な結合子を保有するリン脂質です。
哺乳動物の全ての組織に存在し、人体のリン脂質の約18%を占めています。
特に、脳神経細胞、心筋などの重要な場所に多く含まれています。
プラズマローゲンにはエタノールアミン型とコリン型の2種類が多く見られます。


※プラズマローゲンが重要な働きをしているリン脂質に属している。
 

プラズマローゲンと認知症との関係は?

プラズマローゲンと認知症との関係が初めて論文になったのは、1999年のアメリカでした。アルツハイマー型認知症で亡くなられた方の脳ではプラズマローゲンが減少しているという内容の論文でした。
プラズマローゲンが前頭葉と海馬で有意に減少していることが報告されています。
ジアシル型リン脂質はあまり変化しておらず、プラズマローゲン型リン脂質のみが減少していることが分かったのです。

2007年には、人間の血清からプラズマローゲンを定量化することができるようになり、アルツハイマー型認知症の方は健常者の方と比較してプラズマローゲンが減少しているという論文がアメリカから発表されました。
この論文は生存中のアルツハイマー型認知症患者の血清でプラズマローゲン減少を証明したという意味で画期的論文です。

プラズマローゲンを補給したら、脳はどのように変化するのでしょうか?

プラズマローゲンを補給したら、脳はどのように変化するのでしょうか?
それを我々は、研究しました。
まずは、動物実験を行いました。
下図において老化促進(SAMP8)マウスとは、実験用に作られた老化しているマウスと考えてください。
SAMPR1と記述されたマウスは一般的なマウスです。

海馬歯状回とは、記憶や空間学習能力に関わる脳の器官。
虚血に対して非常に脆弱であることや、アルツハイマー型認知症における最初の病変部位としても知られており、最も研究の進んだ脳部位です。
図は神経細胞染色を行った結果です。

NeuNは神経細胞を表し(緑色)、DCXは幼稚な神経細胞(赤、新生した神経細胞)を表しています。
Mergeは、その2つを合わせたものです。老化したネズミ(SAMP8)で普通のエサの場合と比較して、プラズマローゲン含有エサを与えたネズミは明らかに神経細胞が新生しています。(図2参照)

別の研究では、同じくマウスを使用して、プラズマローゲンの腹腔内投与により、
「プラズマローゲンは神経炎症を抑制する」
プラズマローゲンの全身投与により、
「プラズマローゲンはアミロイドベータの蓄積を抑制する」
プラズマローゲン0.1%をエサに含有することにより
「プラズマローゲンはアミロイドベータによる学習記憶障害を改善する」ことを証明しました。

2014年2月に鶏ムネ肉由来プラズマローゲンで行ったアルツハイマー型認知症患者に対するヒト臨床研究の結果が福岡大学から発表されました。
「アルツハイマー型認知症患者の血中Pls動態に関する研究およびPls含有食品の認知機能改善効果-単盲検試験-」(Plsとはプラズマローゲンのこと)という題名で始まるこの発表では、福岡大医学部神経内科 合馬 慎二助教は次のことを発表しています。


※人にも効果があることが証明された。
※開発した技術は、現在世界特許になっている。


※無作為化とは、医師などの意志を入れず、実際に摂取するグループとプラセボ薬(偽物の何も効果がないもの)を摂取するグループに振り分けること。

※二重盲検とは、データの偏りを操作できないようにするために、医師、治験者、治験実施スタッフなどのすべての人に実薬とプラセボ薬の区別を知らせずに行なうテストのこと。

※並行群間比較試験とは、同時に実薬摂取グループとプラセボ薬摂取グループの治験を実施し、プラセボ効果と実薬を比較検討すること。(プラセボ効果とは、にせ薬でも効いた気になること)


※きちんと決められた臨床試験の手順に沿って実施され、結果が出されたもの。鶏由来でのプラズマローゲンでなくては出せない結果となっている。


※PL-PEはエタノラミン型プラズマローゲンで、脳に多く存在すると言われている。PL-PCはコリン型のプラズマローゲンで、心臓に多く存在する。

※プラズマローゲンは摂取した量に応じて体内に増えていくわけではなく、きっかけを与えて体内でたくさん合成させることで増やす。

※摂取する鶏由来プラズマローゲンがPL-PC 型だと、リゾ体にならずもともと結合していた脂肪酸をそのまま体内に取り組んでくれる。つまり、PL-PEを増やしたければ、PL-PC型を摂取して生合成を活発にしたほうが良い。

※鶏由来プラズマローゲンは、他の海産物系のプラズマローゲンよりPL-PCが多く含まれる。